SMWは原位置土が壁体材料として使用されるため、原位置土の良否が品質に関係します。
土中に瓦礫、廃管類、コンクリート片等の障害物がある場合には完全に撤去してから行います。
SMWの壁芯確認及びエレメントの割付け、また水平・垂直方向の精度を良くするために、 施工に先だちガイドウォールを設置します。
ガイドウォールはコンクリートで築造するのが適切ですが一般的にはH形鋼で代用します。
土質調査に基づきソイルセメントの基本配合を設定しますが、現場の試験施工あるいは2〜3エレメントの本施工を実施した後、技術員の検討により最終的な配合を決定します。 配合については、SMWの品質条件に基づき、土質状況・現場状況などの総合判断により良質な壁体が造成できるよう決定します。
計画された配合でセメントスラリーをオーガーヘッドの先端から吐出しながら削孔混練します。
所定深度に到達後、更に反復混練を行い引き上げることによりSMWが造成されます。
また、芯材を挿入する場合は、削孔混練後すみやかに施工します。
S.M.Wの造成は、原位置土とセメントスラリーとの混合工法のため、注入量に見合う泥土が発生します。
泥土の処理は1〜2日仮置きして硬化後ダンプトラックにて場外に搬出します。
造壁は、連続性の確保および、鉛直精度の維持のため、原則として各エレメントの端部に完全にラップする。
造壁手順としては、1.連続方式 2.先行削孔併用方式の2種類がある。
一般にN値50以下の土質の場合に用いる。下図に示すように、第1エレメントを造成し、次に第2エレメントを造成する。次に、第3エレメントのA軸及びC軸を第1エレメントのC軸孔および第2エレメントのA軸孔に挿入して(両端孔の完全ラップ)第3エレメントを造成する。同様にして第4、第5・・・・・と各エレメントを造成して一連のSMWを造成する方式である。
N値50以上の非常に密に締まった土質、N値50以下でもφ100mm以上の大径の玉石が混入している砂礫または軟岩の土質などにおいて造壁の連続性確保および鉛直精度の維持や、造壁時の減速機負荷を低減させる場合に用いる。
なお、軟岩層が介在する地盤の場合、岩盤性状や層厚により硬岩層と同様にドーナツオーガ工法やケーシング回転掘削工法などを補助工法として併用する必要がある。また、均等粒度の砂地盤などにおけるジャーミング(錐食われ現象)発生の防止対策や造壁速度の均一化による品質向上対策として先行削孔を行う場合がある。
SMWを造成する際、強力な減速機(550 SMWの場合90kW以上,850 SMWの場合150kW以上)を装備する先行削孔機にて、下図に示すようにあらかじめ各エレメントのA軸C軸が追随する位置であるa1 a2 a3……孔を先行削孔することにより、地盤を部分的に緩めると同時に、破砕させておく。その後多軸による連続方式または、片押方式にてa1 a2 a3……孔を連結してSMWを造成する方式である。施工割付け上、先行削孔軸芯が後工程のSMW多軸芯と一致しない場合には、精度確保のため捨打ち施工等の対策が必要となるため、平面形状の変更を含めて設計上の配慮が必要である。
なお、先行削孔の施工順序は施工精度を確保するため、a1 a2 a3……の様に隣接孔を連続的に削孔しないことを標準とする。
※斜線部分は完全ラップ部分を示す。
※上図の数字は造壁又は先行順序を示す。
緩め打ちとは、貧配合のセメント系懸濁液(注1)で被打ち継ぎエレメントと混合撹拌することをいう。エレメント間のコールドジョイント部の放置期間が長くなりラップ施工に支障をきたすと想定される場合に打継ぎエレメントに対し実施することで品質の低下を抑制するためにおこなう。
緩め打ち施工後のエレメント部の配合は、過去の実績を踏まえ一般部と同等のセメント系懸濁液配合を基本とする。
地中障害の発生等の現場条件により、緩め打ちができない場合は、薬液注入や地盤改良等の補助工法を検討する必要がある。
なお、緩め打ち施工を実施した場合でも、コールドジョイント部は止水性の弱点になりやすいことから出隅部には設けないことを原則とし、状況に応じて薬液注入や地盤改良工法を併用するなどの対策を講じることが望ましい。
注1)懸濁液配合は、対象土1m3当たりセメント:0〜50kg,ベントナイト:0〜40kg,W/C:600〜800%程度を基本とする。
注2)造成径が異なる(ex.550SMWタイプと850SMWタイプ)ソイルセメント壁の接続部は、エレメント間の止水性能の弱点になりやすいことから、接円施工を原則とし、背面に薬液注入や地盤改良工法を併用することで適切な止水対策を講じるものとする。
注1)透水試験は、必要とされる場合のみに実施
注2)芯材垂直精度は、地表部における測定管理値